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数学偉人伝

ピタゴラス(古代ギリシャの哲学・数学・天文学者)

ピタゴラス

紀元前580年頃、エーゲ海にあるギリシャの植民地サモス島で生まれた。
彼の生きた前6世紀から前5世紀にかけては、東方のインドでは釈迦が、中国では孔子が活動し、西方ではギリシャの黄金時代の初期であり、ローマが建国を始めた頃である。全世界に新しい精神がうまれ、大きな活動をし始めた、そんな時代にピタゴラスは生きたのである。

彼はイオニア植民地のミレトスで、タレス、アナクシマンドロスのイオニア学派の思想を学んだ。タレスは、エジプトで数学を学び、ギリシャの幾何学の礎を築き、天文学者としては日食を予言し、哲学者としては「万物の根源は水である」と説いたことで知られる人物である。アナクシマンドロスは、タレスの弟子で哲学、天文学においては師をしのいだといわれる人物である。

前530年頃、彼は南イタリアにあるギリシャの植民都市クロトンに移住し、そこで学校を開く。
学校では、数学・自然科学・哲学を教えた。弟子たちはそこで学んだことを口外することを禁じられた。弟子たちが発見したこともすべて師であるピタゴラスの発見とされた。ピタゴラスは出版を禁止し、1冊の書も残さなかったので、彼の業績とされるものもどれだけ彼自身の発見かはわからず、すべては1つの団体であるピタゴラス学派の業績であるといわざるをえない。

彼の作った学校は、一部の選ばれた者にしか伝授しない知識があるなど秘密結社に近い教団であった。
ピタゴラス学派の人々は道徳と行動を厳しく律し、共同生活を行った。菜食主義を守り、断食や瞑想が行われ、輪廻転生を信じた。

数がすべてである

ピタゴラス学派の中心的な教えのひとつは、数がすべてであり、数がなければ何も考えることも何も知ることもできないというものであった。そのため、根源である数を様々な形で分類した。

  • 奇数と偶数
  • 三角数
    1+2+3+・・・+nのような自然数の和は、図にかくと三角形になる。
  • 四角数
    1+3+5+・・・+(2n-1)のような奇数の和は、図にかくと四角形になる。
  • 約数による分類
    (1)完全数
    ある数の全部の約数の和がもとの数となるもの。
    例:6=1+2+3
     28=1+2+4+7+14
    (2)過剰数
    全約数の和がもとの数より大きいもの。
    (3)不足数
    全約数の和がもとの数より小さいもの。
    (4)親和数(友愛数)
    一方の全約数の和が他方の数と等しくなるもの。
    例:220と284
    220=1+2+4+71+142(284の約数の和)
    284=1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110(220の約数の和)
  • ピタゴラス数
    直角三角形の3辺をあらわす整数
    例:3,4,5
     :5,12,13
  • 素数
    1とその数以外に約数をもたないもの。
    例:2,3,5,7,11・・・

こうした数の研究から幾何学においてもピタゴラス学派は様々な業績を残した。以下はその主なものである。

ピタゴラスの定理(三平方の定理)

直角三角形の斜辺の長さの2乗は他の2辺の長さの2乗の和に等しい。
この定理の証明は数多くあるがピタゴラスによるとされる証明は以下のとおりである。

右の図は直角三角形ABC4つとABを1辺とする正方形(面積はc2)とで正方形が作られている。この図から直角三角形を下のように動かす。

すると、直角三角形ABC4つとa2とb2の正方形とで同じ正方形ができる。
以上より、c2はa2とb2の和に等しい。

三角形の内角の和は2直角に等しい

正多面体が5個あること

立方体・正四面体・正八面体はピタゴラス以前にエジプトで知られていたが、これに正十二面体・正二十面体 を加えて5個あるとした。

黄金分割の作図

1つの直線をa、b2つの部分に分けてa+b:a=a:bであるようにすること。これを利用して正五角形を作図した。

無理数の発見

正方形の1辺と対角線の長さは、等間隔の目盛りが刻んである直線定規では同時に測ることはできない。

ピタゴラス学派は天文学の分野においても優れた業績を残している。
立体の中でもっとも完全なものは球であるとして、そこから地球および一般の天体が球状であることをはじめてとなえた。これはのちにコペルニクスの地動説にヒントを与えた。

ピタゴラスの実像については不明な部分が多く、彼について触れた文書は彼を美化することが珍しくない。彼の 没後200年とたっていないアリストテレスもピタゴラス像を明確に描くことはできなかった。
しかし、彼の思想は、西洋思想に多大な足跡を残した哲学者プラトンに大きな影響を与え、数学的な宇宙という彼の理想は今日もなお生き続けている。