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コラム

なぜ今「生涯学習」なのか

2007年3月5日

数理検定協会 理事長 川野辺 敏

「生涯学習」という言葉は最近一般の人々にも抵抗なく受け入れられるようになっています。しかし、その内容については人によって捉え方がさまざまです。それは成人や高齢者を対象にしたもの、それは従来の社会教育と同じもの、公民館やカルチャーセンターなどで行っているもの、などさまざまです。10数年前までは障害教育と間違えられたこともありますので、当然かもしれません。

生涯学習は比較的新しい概念であり、やや専門的に言いますと1960年代後半から世界各国に広まり、わが国でもその重要性が認識されるようになったものです。その要旨は 「人の誕生から死に至るまでの人間の一生を通じて行われるべきもの」というもので、この背景には急激な社会変化(科学技術の発達・国際化・情報化・労働や環境及び生活全体の変化)があり、また、人々の生きがい観の変化(金・物・地位から心豊かな生活へ)などがあります。別の言葉でいうと「Learning to have」の教育から「Learning to be」、つまり、「持つこと」の教育から「人間であること」の教育への転換が求められ始めたのです。

わが国でもこの考え方が次第に強まり、1984〜87年の臨時教育審議会ではこれからの教育の基本として「生涯学習体系への移行」があげられ、学校教育を含めた教育全体の改革が進められたのです。(なお、学校教育は「生涯学習の基礎を培う場」と学習指導要領に位置づけられています。生涯学習の始発駅というわけです)

ご存知の方も多いと思いますが、昨年末に成立した「教育基本法」には、新しく第3条に「生涯学習の理念」が加えられ、「国民一人ひとりが、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるように、その生涯に亘って、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を図らなければならない」という内容が加えられています。豊かな人生を送るために生涯学習を奨励した規定であるといえましょう。

数理検定協会では協会が行う検定であるTOMACを「生涯学習」の一環として位置づけ、学生にも、成人・高齢者にも大いに役立つものとし、個々人の成長や学ぶ喜びを目指して実施してきました。TOMACでは学習者個々人の立場(年齢・能力等)を尊重し、それぞれが自らの立場で課題を見つけ、挑戦し、解決する力を重視しており、誰もがある時点での自分の状況を把握でき、「進歩・成就の喜び」を得られるように工夫しています。マズローというアメリカの心理・生理学者は人間の欲求を5段階に分け、最高の段階を「自己実現の欲求」(生理的欲求・安全欲求・所属と愛の欲求・承認の欲求・自己実現の欲求)といっています。私も、人間の生きがいを「創造の喜び」(絶対的な個として)、「他に役立つ喜び」(社会的な存在として)、「感動の喜び」(自然的な存在として)の三つに整理してきましたが、TOMACはすべてを網羅しており、特に「創造の喜び」に注力しているところに特徴があります。(詳しくはTOMACとはをご覧ください。)

これからも、挑戦を続け、学習の喜びを感じ取っていただければと願っています。