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コラム

数学のイメージ

北海道工業大学 総合教育研究部長 岩井 泰夫

世間では「数学」に対するイメージがあまりよくない、と数学教育関係者から聞かされることがある。本当にそうなのかを確認するため、自分が勤務している大学の学生たち、延べ1400人を対象に数学のイメージアンケートを実施してみた。

調査項目に対照的なイメージ語15種類について、どちらをどの程度の感覚で感ずるか、その偏りを5段階評価で示してもらった。用いた用語は、「大きい・小さい」「遠い・近い」「高い・低い」「厚い・薄い」「早い・遅い」「明るい・暗い」「暖かい・冷たい」「若い・老いた」「活動的・静止的」「やわらかい・かたい」「好ましい・嫌い」「楽しい・つまらない」「強い・弱い」「将来性ある・将来性ない」「頼もしい・頼りない」などである。比較的差が出た用語を使って学生たちの「数学」に対するイメージをまとめるとつぎのようになる。『数学は、冷たくてかたい感じがする。しかし、大きくて厚くて高い存在感がある。そして、強くて将来性があり、頼りになるものである』

アンケート対象者は工学部学生たちであることを考慮してもまともな見方といえるのではないか。数学は役に立たないと述べる著名人もいたようではあるが、数学の有用性や信頼性はゆるぎないものといえよう。また、数学基礎学力が大学教育のなかでどのように変化しうるのかを検証するために、数理検定協会の数学能力検定試験TOMACで測定した数学能力とその後の数学の授業科目の成績との相関や変化を調べてみた。入学後一年間のデータを検討してみると、入学後半年では入学時の数学能力スコアと数学の成績との相関は比較的高いが一年後では低くなること、そして成績の標準偏差値が大きくなることもわかった。これらのことから、入学後における本人の学習への意欲と努力次第で変化を遂げることがわかる。数学能力は生まれつき決まっているのではなく、学習次第で向上していくことを示しているというひとつの証である。